030011
荒木聢志[荒木多忘](昭和30年卒)
書 篆刻「月夜(杜甫)」
↓読み ↓読み下し
 
この詩「月夜」は、755年に勃発した安禄山の乱で虜囚となった杜甫が失意のなかで見た月に、思わず家族への慕情に駆られて詠んだ詩である。冒頭”今夜フ州の月 閨中に看る”とあるが、これは杜甫が見ている月、その同じ月をフ州の羌村に疎開している妻子も見ているであろう、とその情景を思い描いている。更に切々たる思いは幼い子達のことなどにも及び、失意のどん底にある杜甫はその心情をさらけ出している。
印文は五言律詩の結句で”何時になったら窓辺に寄り添い乍ら、二人で月の光に照らされ涙の乾く時がくるのだろう”と詠んでいる。757年の作。
756年末、安禄山は洛陽で大燕皇帝を名乗り、玄宗皇帝は蜀へ逃避。その途次楊貴妃は玄宗の側近高力士によって縊殺され、粛宗が帝位に就いた。
翌757年、安禄山は自らの息子慶緒に殺され、乱は安慶緒・史思明に引継がれたが、762年に玄宗、粛宗が相次いで死去。翌763念に乱は終息した。







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